空き家バンクとは?どのようなときに活用できるのか?
不要な土地や建物などの負動産を処分する方法には、空き家バンクの活用もあります。
本コラムでは物件の所有者向けに、空き家バンクとはどんな仕組みか、登録・利用の流れやメリット・デメリットはどんな内容かなどを解説します。
空き家バンクとはどんな仕組み?本当に機能しているの?
はじめに、空き家バンクの基本情報を整理していきましょう。
空き家バンクとは、所有者と利用したい人を結ぶ仕組み
空き家バンクとは、「空き家を売りたい、貸したい人」と「空き家を利用したい人(移住者や交流希望者など)」をマッチングする仕組みのこと。
地方自治体で空き家の物件情報の登録受付を行い、以下のような方法で情報提供がされています。
・Webサイト
・広報誌
・役所窓口
・対象者への郵送やメール
・不動産業者を通しての情報提供 など
空き家バンクは、地方自治体が主体になって運営されている
価値総合研究所がまとめた「空き家バンクに関する調査研究報告書(平成29年度)」によると、空き家バンクを現在実施している地方自治体の割合は、都道府県で17.2%、市区町村で62.2%。市区町村単位で運営している空き家バンクが目立ちます。
といっても、空き家バンクの運営主体については、下記のような様々な種類があります。
・行政(単独)
・行政(複数の自治体が連携)
・民間企業
・行政と商工会議所が連携
・行政とNPOが連携 など
市区町村の場合、行政が単独で運営しているケースが大半で全体の83.6%を占めます。
いずれにせよ、空き家バンクは地方自治体が深く関わって運営されていますので安心して利用できる仕組みといえます。
この他、空き家バンクには国土交通省が主体になっている全国版もあります。
これは自治体を横断して全国の空き家情報を集約したもので、実際の運用は大手不動産情報会社が担当しています。
▽全国版の空き家バンク
アットホーム 空き家バンクはこちら
LIFULL HOME’S 空き家バンクはこちら
空き家バンクのマッチング数は、自治体によって差がある
空き家バンクが機能しているかどうかは地方自治体によります。
同調査によると、市区町村のうち、1年間の成約件数が1〜5件未満の割合は約33%、5〜10件未満の割合は約18%です。
市区町村の中には、1年間の成約件数が50〜100件程度という空き家バンクが見られる一方、1年間の成約件数が0件というところもあります。
このように自治体によって成約数にはかなりの差があるため、空き家バンクに登録する前に、これまでの実績をチェックするのが無難かもしれません。
*成約件数は、平成28年度分の調査結果
空き家バンクに物件を登録・利用する流れとは?
負動産を所有している人が空き家バンクに物件を登録・利用する流れは次の通りです。
1.相談受付
2.現地調査
3.登録審査
4.登録申込の手続き(登録可となった場合)
5.空き家バンクを通じて情報公開
6.契約交渉 (問い合わせがあった場合)
7.契約
ただし、上記はあくまでも流れの一例ですので、実際に空き家バンクを利用する場合は各自治体の担当部署にご確認ください。
空き家バンクに登録できる物件の条件とは?
対象の自治体の区域内にある物件であれば、基本的に空き家バンクに登録することが可能です。
ただし、各自治体で登録できる物件の要件があります。その一例を見てみましょう。
・個人が住むことを目的に建築された物件である
・現在は誰も住んでいない(もしくは、近いうちに誰も住まなくなる予定)
・賃貸や分譲などを目的にしてない
・建築物の安全性に問題がない
・宅建業者と売買または賃貸借の媒介(仲介)契約を締結している
・賃貸物件の場合、管理契約を締結している など
上記は人口減少率が全国一の秋田県の県庁所在地である、秋田市の空き家バンクの要件に基づいた内容です。
なお、「宅建業者との媒介契約の締結」を要件に入れている理由について、秋田市では「個人間による契約交渉などのトラブルを防ぐため」と説明しています。
空き家バンクを利用するメリットとは?
所有物件を空き家バンクで登録・活用・売却した場合、以下のようなメリットが享受できます。
メリット:登録料がかからない
不動産の物件情報を無料で発信をできることは、空き家バンクの大きなメリットです。
ただし、利用者との交渉が成立して、売買契約や賃貸借契約を締結する際には、仲介手数料を宅建業者に支払う必要があります。
メリット:空き家を地域に役立てられる
空き家をそのままの状態で所有していても、維持コストや固定資産税を払い続ける負動産でしかありません。
空き家バンクを活用して、買い手や借り手を見つければこれらの負担から解放され、地域に役立てることができます。
メリット:補助金を利用できる
空き家バンクを利用した際、物件所有者が利用できる補助金を用意している自治体もあります。
例えば、長野市では空き家の清掃代や家具などの処分・運搬費用に対する補助金や、空き家の売買が成立したときの仲介手数料などに対する補助金を用意しています。
空き家バンクに対する補助金は、自治体によって内容が異なるため、公式サイトや役所の窓口などで確認してみましょう
*紹介した長野市の補助金は、2023年5月2日時点の情報です。
*ただし、空き家バンク関連の補助金が必ず用意されているわけではありません。
空き家バンクを利用するデメリットとは?
一方、空き家バンクには以下のようなデメリットもあります。
メリットとデメリットの両方を考慮したうえで、利用するか否かを検討しましょう。
デメリット:維持コストがかかり続ける
空き家バンクに登録したからといって、借り手や買い手と必ずマッチングできるわけではありません。
とくに登録制度はあるものの、成約実績の少ない自治体の空き家バンクだと過度な期待はできません。
また、不動産会社から通常の仲介を断られたような、市場価値のない物件は空き家バンクに登録しても反響がない可能性もあります。
その間、所有者は維持コストや固定資産税などを 負担し続ける必要があります。
デメリット:要件に合わないと利用できない
空き家に共有者がいる場合は、共有者全員の同意がなければ空き家バンクに登録できません。
また、違法建築物だったり、安全性やライフラインに問題があったりする物件なども空き家バンクに登録できません。
ただし、こういった物件を取り扱えないのは、ほかの処分方法(売却や引き取りなど)でも同じです。
まとめ:早く処分したい人は、引き取り業者を利用する手も
空き家バンクという仕組みは、移住者や交流者などがいて成り立つ仕組みです。
そもそも 移住者自体が少ない自治体ではマッチングする可能性が低いため、他の活用策や処分方法を模索していくのが得策かもしれません。
とはいえ、空き家バンクに登録する物件は、通常の不動産仲介や売買が難しいケースがほとんどではないでしょうか。
「負動産を早く処分したい!維持コストや固定資産税の負担をなくしたい!」という人は有料の引き取り業者を利用する手もあります。
これなら規定の料金を支払えば負動産を確実に処分できます。対応が早い業者だと、引き取りに要する期間は3日〜1週間程度でスピーディに処分できます。
当社でも、不動産を有料で引き取るサービス「不動産有料引き取りSOS」をご用意しております。
不動産の処分にお困りの方は、お気軽にお問い合わせください。
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