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第三者のためにする契約とは?取引時の売主・買主の注意点も解説

「第三者のためにする契約(いわゆる新中間省略登記、三為契約)」は、一般消費者にはトラブルが多いイメージもあるようです。

しかし、法的に認められている契約形態であり、十分な知識を持った売主と買主が利用する場合には問題ありません。

このコラムでは、「第三者のためにする契約」の概要やメリット・デメリット、取引時の売主・買主の注意点などについて解説します。

※買主と売主の間に入る中間者は必ずしも不動産会社とは限りません。
また、数多くの企業や個人が関わる4為、5為契約のような形態も見られます。

このコラムでは、中間者が不動産会社の場合の「第三者のためにする契約」について言及しています。

第三者のためにする契約とは?不動産会社のメリットは?

はじめに、「第三者のためにする契約(新中間省略登記、三為契約)」を理解するために通常の不動産取引との比較をしてみましょう。

三者間の取引だが不動産会社は所有権を取得しない

通常の不動産取引では、売主と買主が直接契約を交わします。

不動産会社(=宅建業者)はあくまでも「買主と売主の仲介役」の役割を担っています。

この取引の場合、売主から買主へ所有権の移転が行われます。

これに対して、「第三者のためにする契約」では、元の所有者と不動産会社、不動産会社と最終買受人がそれぞれ売買契約を締結します。

つまり、不動産会社は仲介役ではなく、不動産取引の当事者となるのです(下記参照)。

【元の所有者】-*1売買契約A-【不動産会社】-*2売買契約B -【最終買受人】

  • 売買契約A:第三者のためにする売買契約(所有権を最終買受人に移転する特約付)
  • 売買契約B:他人物売買契約

本コラムのテーマである「第三者のためにする契約」は、新中間省略登記とも呼ばれています。

前提として、中間省略登記は当事者全員(今回の場合は、元の所有者、不動産会社、最終買受人)の合意があることで成立するものです。

所有権を売主から買主に直接移転できる

この場合、本来なら所有権の移転は「元の所有者→不動産会社→最終買受人」という流れで行われるべきです。

しかし、「第三者のためにする契約」では、売買契約に特約を設定することで所有権の移転を「元の所有者→最終買受人」という形で直接行うことができます。

このようなことが可能な理由は、不動産会社が一時的または形式的に不動産取引の当事者になっているからです。

不動産会社は「第三者のためにする契約」を結ぶことで、通常発生する登録免許税や不動産取得税を負担しなくて済むようになります。

この他、「第三者のためにする契約」による不動産会社のメリットには、仲介手数料の報酬よりも高い利益を得られることや、手元資金を使わずに物件を仕入れられることなどがあります。

新中間省略登記は、不動産登記法の改正で生まれた

「第三者のためにする契約」のような所有権を直接移転する契約形態は元々、中間者(不動産会社)の登記を省略する形で行われていました。

しかし、2004年の不動産登記法の改正により、この状況は一変しました。

改正後は、登記申請時に、登記の原因となる事実などを記載した書面(登記原因証明情報)の添付が必須となり、元の所有者から不動産会社への登記を省略することが認められなくなりました。

その後、中間者が当事者として関与していても、「元の所有者→最終買受人」へ所有権を直接移転する契約形態が模索されました。

その結果、法的に問題がないということで定着したのが「第三者のためにする契約」です。

なお、「第三者のためにする契約」を含んだ契約は、三為(さんため)契約とも呼ばれます。

「第三者のためにする契約」の売主・買主のデメリットは?

「第三者のためにする契約(新中間省略登記、三為契約)」には、元の所有者(以下、売主)と最終買受人(以下、買主)にとって以下のようなデメリットがあります。

不当な利益を搾取される可能性がある(売主、買主)

通常、三為契約では、売主と買主の双方が以下のことを把握できません。

  • 売主側:売主が物件をいくらで売却したのか
  • 買主側:買主が物件をいくらで購入したのか

流通価格が不透明なため、悪質な三為業者が売主と買主の間に入り、不当な利益を得る可能性があります。

契約解除のリスクがある(売主)

売主にとって三為契約は、契約締結後に契約解除のリスクが存在することがあります。

三為契約では、売主と不動産会社の契約を先行させ、契約書で規定した引き渡し期間内に買主を探すケースもあります。

これにより、不動産会社は手元資金を使わずに物件を仕入れて売買差益を得ることが可能になります。

しかし、引き渡し期間内に買主が見つからない場合、三為業者は売主に違約金を支払って契約を解除をする可能性があります。
※買主が見つからない場合、三為業者自身が物件を直接買い取るケースもあります。

「第三者のためにする契約」の売主・買主のメリットは?

ネガティブに解説されることの多い「第三者のためにする契約(新中間省略登記、三為契約)」ですが、実際には売主と買主にとって以下のようなメリットもあります。

短期間でスピーディーに取引が進みやすい(売主、買主)

不動産会社にとって、三為契約は通常の仲介取引よりも利益が多く得られる可能性があります。

そのため、営業マンのモチベーションが高まりやすく、取引がスピーディーに進む傾向があります。

このようなことを考慮すると、短期間で物件を売買したい買主や売主にとって、三為契約はメリットがあるという見方もできます。

契約不適合責任の免責特約がない(買主)

一般的な三為契約では、買主と三為業者(宅建業者)の間の契約形態は売買契約です。

買主側には契約書通りの物件でなかった場合、最低2年間は「契約不適合責任」を主張できるというメリットもあります。

売主(一般の人)と買主が直接契約する売買契約の場合は、「契約不適合責任」の免責特約を設けることが可能です。

しかし、三為契約の場合、売主が不動産取引のプロである宅建業者のため、免責特約を設けることはできません。

「第三者のためにする契約」における売主・買主の注意点

最後に、ここでお話ししてきた内容を基に、「第三者のためにする契約(新中間省略登記、三為契約)」をする際の売主・買主それぞれの注意点を整理してみましょう。

[売主の注意点]
三為業者が提示する売却価格が相場に近いものかをリサーチしましょう。

相場とかけ離れた価格の場合は訂正を求めることが重要です。

もちろん、価格の訂正が難しい場合は、契約自体を見直すことも必要です。

また、引渡し期間内に三為業者が買主を見つけられない場合、契約解除のリスクもあります。

契約前に、引渡しや期限内に買主が見つからない場合の条件を確認しておくことが重要です。

[買主の注意点]
売主と同様、購入価格が相場に近いかをリサーチしましょう。

納得できる価格でない限り、契約しないことが大事です。

「他の買い手候補がいる」「●月●日までに決断しなければ契約が流れる」などの誘い文句で急かされても毅然とした態度で対応することが重要です。

「第三者のためにする契約」は、売主・買主どちらの立場でも一定のリスクがあります。

そのため、当事者が仕組みを理解し、信頼できる不動産会社を介して行うことが重要です。

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