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賃料値上げを拒否されたらどう対処すべき?交渉を有利に進めるポイントも解説!

「賃料値上げをしたい。でも、拒否されたらどう対処すればよいか心配」という賃貸オーナーに役立つ記事です。

本稿では、賃料値上げを拒否されたときの3つの対処を紹介。交渉を有利に進めるポイントも交えて分かりやすく解説します。

賃料値上げは「拒否されること」を前提にしながら進めよう

賃貸借契約に「賃料値上げをしない」という特約がなければ、賃貸オーナーは入居者に対して賃料値上げを求められます。

ただし、賃料値上げを要求したからといって、入居者はそれに応じなくても構いません。

賃料値上げをするには「賃貸オーナーと入居者が合意すること」が絶対条件になります。

つまり、入居者が賃料値上げを拒否した場合、(裁判で賃料増額が確定しない限り)今までと同額の賃料を支払えば、そのまま物件に住み続けられるということになります。
参考:借地借家法32条1項・2項

最近はネットが発達しているので、入居者は「賃料値上げは拒否できること」をスマホで簡単に調べられます。

そう考えると、「賃料値上げを通知しても、拒否される可能性があること」を意識しながら、慎重に交渉していく必要があるでしょう。

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賃料値上げを拒否されたときの3つの対処

まず、前提ですが、賃料値上げは慎重に検討すべきです。

物価上昇など、どうしても賃料値上げをせざるを得ない状況があれば、それを入居者に丁寧に説明して了承してもらえるよう努力しましょう。

このような努力をしても入居者から賃料値上げを拒否されたときの対処は、次の3つが挙げられます。

1.入居者と粘り強く話し合う
2.調停で話し合う
3.物件を売却する

それぞれの対処の内容・メリット・注意点などを理解した上で、状況にあった選択をしていくことが大事です。詳細を見ていきましょう。

対処1.入居者と粘り強く話し合う

【この対処のメリット】
・入居者との関係を悪化させずに賃料値上げが可能

【この対処の注意点】
・手間と時間がかかる
・設備投入の場合は費用がかかる

入居者から賃料値上げを拒否されたとき、まずとるべき対処は「粘り強く話し合うこと」でしょう。

ただし、一方的に賃料値上げを要求するだけでは、入居者との関係が悪化し、解決がますます難しくなる可能性もあります。

このような深刻な事態にならないよう、入居者の立場になって賃料値上げを受け入れやすくなる条件を提示することが大事です。

対処2.調停で話し合う(裁判を提起する)

【この対処のメリット】
・第三者的な視点を交えて解決を探れる

【この対処の注意点】
・弁護士費用がかかる
・裁判になった場合は不動産鑑定の費用がかかる
・賃料値上げに成功しても退去されるリスクがある

入居者から賃料値上げを拒否され続けた場合は「調停(第三者が関与する話し合い)」で和解の可能性を探る方法があります。

さらに調停で解決できない場合は「訴訟(裁判)」によって裁判所の判断を仰ぎます。

調停と訴訟の違いは次の通りです。

【調停とは?】
・第三者が当事者の間に入って紛争の解決を図る
・調停の第三者に選ばれるのは、裁判官及び一般市民から選ばれた調停委員
・あくまでも当事者が自主的に紛争解決を目指すための制度

【訴訟とは?】
・裁判によって紛争の解決を図る
・裁判官が当事者双方の言い分を聞き、証拠などに基づいて判決を下す

なお賃料値上げ(または値下げ)で法的な手続きをとる際は、まず「調停」で紛争解決を図り、それでも和解できない場合は「訴訟」を起こすことが可能となります。

深刻なトラブルになっている場合でも、いきなり訴訟を提起することはできません。

対処3.物件を売却する

【この対処のメリット】
・弁護士費用や不動産鑑定の費用がかからない
・賃料値上げ交渉の手間や負担から解放される

【この対処の注意点】
・トラブルを抱える賃貸物件の場合、一般の不動産会社では売却が難しい

賃料値上げについて話し合いを続けても、入居者に拒否され続けた場合は、物件を売却する手もあります。

この選択は、賃料を値上げしないと「経営自体が厳しい(現在または将来的に赤字経営など)」、さらに、訴訟や裁判の「弁護士費用を負担するのも難しい」といった出口の見えない物件に合った選択です。

たとえば、賃料値上げの調停で弁護士に依頼したときの費用の一例は、着手金だけで20〜50万円程度、これに加えて報奨金(金額は着手金と同程度〜)も必要となります。

仮に、賃料を月額1万円(年額12万円)上げるのに成功しても、調停の弁護士費用が100万円かかれば、元を取るのに8年以上かかる計算になります(100万円÷12万円=約8年4カ月)。

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賃料値上げを拒否されないために!交渉を有利に進めるポイント

賃料値上げの通知や入居者の対応を管理会社に任せるケースも多いでしょう。

しかし、賃料値上げの中身や交渉の方向性を決めるのは、あくまでも賃貸オーナーであるべきです。

交渉を有利に進めるポイントを以下にまとめました。

ポイント1.早めに賃料値上げの通知をする

翌月の賃料から値上げをするなど、急な賃料値上げの要求は入居者の反感を買い、拒否される可能性があります。

数カ月前など早めのタイミングで賃料値上げの通知をすれば、入居者が「賃料値上げを承諾するか、応じずに退去するか」を検討しやすいです。

ポイント2.賃料値上げの正当事由を示す

正当事由(今回の場合は値上げの根拠)のない賃料値上げは、調停の際に説得力に欠け、また、訴訟で負ける公算が大きいです。

また、入居者からすると、理由を示されず、いきなり賃料値上げを要求されても納得しにくいでしょう。

このことを踏まえると、入居者に賃料値上げを通知する際は、正当事由をしっかり示すことが大事です。

なお、借地借家法で例示されている正当事由は次の通りです。

・土地や建物に対する税金の負担が増加した
・土地や建物の価格が上昇するなど経済事情が変化した
・近隣の類似した条件の物件の賃料よりも安すぎる

正当事由と共に、その根拠となるデータも提示すれば説得力が増します。

一例では、相場よりも賃料が安いことが値上げの理由なら、競合物件のデータをまとめるなどです。

ポイント3.少額の賃料値上げにする

賃料値上げはその金額が増えるほど、入居者から拒否されやすくなります。

一般的な賃貸物件であれば、数千円程度の賃料値上げであれば応じやすいのに対し、1万円を超えるような賃料値上げになると拒否感が強まります。

ご自身が所有する物件の入居者が「どれくらいの金額なら賃料値上げを受け入れやすいか」をイメージしながら、値上げ額を設定することも重要です。

ポイント4.入居者のメリットを組み合わせる

交渉においては、相手に対して要求する一方だと拒否されやすくなります。

これを変えるには、「要求+相手方のメリット」を組み合わせて交渉を進めるのがよいでしょう。

これを今回のケースに当てはめると、賃料値上げ(要求)に応じてくれれば、魅力的な設備を提供する(相手方のメリット)といった交渉方法が考えられます。

入居者がメリットを感じる設備例は次の通りです。

・無料Wi-Fi
・宅配ボックス
・共用部の防犯カメラ
・オートロック など

賃貸トラブルを抱えている物件でも売却が可能!

ここでは、賃料値上げを拒否されたときの対処や交渉を有利に進めるポイントについて解説してきました。

対処のひとつ「物件を売却する」について補足をすると、下記のような賃貸トラブルを抱えている物件は、一般的な不動産会社に売却の相談をしても扱ってくれないケースがほとんどでしょう。

▽賃貸トラブルの一例
・家賃滞納をしている悪質な入居者がいる
・共有者の合意がとれず売却できない
・建物が著しく老朽化している
・再建築不可である など

こういったトラブル物件は、仮に不動産会社で扱ってくれたとしても市場価格とかけ離れた安値で買い叩かれるのがほとんどです。

しかし中には、賃貸トラブルを抱えた物件を得意とする不動産会社も、数が少ないながらも存在します。

トラブル物件に強い不動産会社なら、物件を再生するノウハウがあるため、適正な買い取り価格を提示してくれる可能性があります。

EINZ(アインツ)は、トラブル物件に強い不動産会社のひとつ。

出口が見えずに悩んでいるオーナーはぜひ一度、ご相談ください。

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