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埋蔵文化財包蔵地とは?売る際の注意点とポイントについて

所有している埋蔵文化財包蔵地の処分をご検討中の人向けの内容です。

埋蔵文化財包蔵地を売りに出す前に知っておきたい注意点やポイントをまとめました。

スムーズな売却や契約後のトラブル回避にお役立てください。

埋蔵文化財包蔵地とは?どんな規制を受ける?

はじめに、埋蔵文化財包蔵地の基本情報を整理しましょう。

埋蔵文化財包蔵地は法律で保護されている

埋蔵文化財包蔵地とは、埋蔵文化財が地下に埋もれている土地のことです。

埋蔵文化財には以下のようなものがあります。

・石器、土器、木器、金属器
・貝塚
・古墳
・住居跡、集落跡 など

これらの埋蔵文化財は、昔の人々の生活・地理・状況を知ることのできる貴重な歴史的史料です。

埋蔵文化財は他の建造物や美術工芸品などと同様、1950年(昭和25年)に制定された「文化財保護法」で保護されています。

そして、これら埋蔵文化財の所在が明らかな土地を「周知の埋蔵文化財包蔵地」といいます。

遺跡地図・遺跡台帳などの公的文書に記載されているものの他、その地域で広く認められている埋蔵文化財包蔵地もあります。

なお、埋蔵文化財包蔵地は全国で約46万カ所もあります。

埋蔵文化財包蔵地の工事は届出が必要

地中に埋まっている埋蔵文化財は、どこに存在するか、どれくらいの範囲で埋蔵されているかなどが地表から判断できません。

そのため、埋蔵文化財包蔵地で個人または民間事業者が土木工事・造成・住宅建築・掘削を行う際は、都道府県の教育委員会に対して、着手する60日以上前までに届出を提出する必要があります(市区町村の教育委員会経由で届出)。

*条文上は、文化庁長官への届出となっています。
*埋蔵文化財発掘(埋蔵文化財包蔵地内の工事)の届出に必要な書面は各市区町村の担当課で用意されています。公式サイトでダウンロードすることも可能です。

上記の届出には、大規模な工事や建築だけでなく、配管工事、浄化槽の設置といった比較的小規模な工事も含まれます。

埋蔵文化財包蔵地の届出は、工事の大小にかかわらず、土地を掘り返す工事のすべてが含まれると覚えておくとよいでしょう。

この項全体の参考:文化財保護法・第九十三条(土木工事等のための発掘に関する届出及び指示)

埋蔵文化財包蔵地を売却する際の注意点

埋蔵文化財包蔵地で土木工事などを行う際、着手する60日以上前までに届出を提出しなければならないというのは前述の通りです。

この制約があるため、埋蔵文化財包蔵地の売却は、一般の土地よりも不利な条件になる可能性があります。以下がその詳細です。

注意点:周辺相場よりも割安になりやすい

一般的な仲介会社(宅建業者)に依頼すれば、埋蔵文化財包蔵地やそこに建つ家の売却は行えます。

ただし、埋蔵文化財包蔵地は、「着手の60日以上前までに届出が必要」という制約があるため、周辺相場よりも割安な売却価格になってしまう可能性もあります。

「届出をすれば工事ができるなら、それほど大きな問題ではないのでは?」と感じる人もいらっしゃるかもしれません。

しかし、届出後に都道府県の教育委員会が「埋蔵文化財の保護の必要あり」と判断した場合、埋蔵文化財の記録作成を目的に発掘調査が行われ、その間、工事が遅れることも考えられます。

注意点:買い手がつきにくい

対象物件を売りに出したところ、「買いたい」という人が現れても、埋蔵文化財包蔵地であることを説明したところ、買うことを辞退することもあり得るでしょう。

ちなみに、対象物件が埋蔵文化財包蔵地の場合は、買主に対してその旨を重要事項説明で必ず伝えなくてはいけません。

万が一、埋蔵文化財包蔵地であることを重要事項説明で伝えなかったら宅建業法の第35条1項2号に抵触します。

売買契約において、相手方に埋蔵文化財包蔵地であることをしっかり伝えることは、トラブル回避のために重要です。

この部分については、後ほどさらに詳しく解説します。

埋蔵文化財包蔵地を売却する際のポイント

埋蔵文化財包蔵地は一般的な土地と異なる性格を持っています。

そのため、以下のポイントに留意しながら、慎重に売却を進めなくてはいけません。

ポイント:遺跡地図・遺跡台帳の内容を確認する

埋蔵文化財包蔵地を売却するときは、仲介会社(宅建業者)や買い手に対して正確な情報を提供する必要があります。

とはいえ、所有地がどのような内容で登録されているか正確に分からないケースも多いのではないでしょうか。

埋蔵文化財包蔵地に関する情報は、各自治体の教育委員会が作成・管理している「遺跡地図」や「遺跡台帳」でその内容を確認できます。

また、最近では、自治体が作成したWebサイト・データベース(遺跡地図情報など)で埋蔵文化財包蔵地の情報を手軽に検索することも可能になっています。

例えば、東京都教育委員会のサービスを利用すると、埋蔵文化財包蔵地の名称・市区町村・町丁目・種別などの情報を登録なしで閲覧できます。

参考:東京都教育委員会「東京都遺跡地図情報インターネット提供サービス」

ポイント:埋蔵文化財包蔵地であることを相手方に十分伝える

埋蔵文化財包蔵地の内容は、一般の人にとって理解しにくいものです。

買主の中には、埋蔵文化財包蔵地という言葉をはじめて聞いた人もいます。

これを考慮すると、重要事項説明の書面には「文化財保護法」のチェック項目がありますが、 軽く触れる程度では説明責任を果たしたとはいえないでしょう。

契約後のトラブルを回避するには、重要事項説明のとき買主に「埋蔵文化財包蔵地とは何か、どんなデメリットがあるか」を理解していただくことが重要です。

重要事項説明は仲介会社や宅建士がやるものと思わずに、売主として相手方が埋蔵文化財包蔵地のことをしっかり把握しているかに目配りするのも大事です。

といっても、相手方に重要事項説明をするのは宅建士ですので、売主は「先方に埋蔵文化財包蔵地のことを丁寧に説明していただけますか」など一声かける対処をするのがよいでしょう。

もちろん、重要事項説明の前段階で、埋蔵文化財包蔵地であることを先方に十分理解していただくのが理想です。

そのための方策を仲介会社と話し合ってみましょう。

■まとめ:処分に困った埋蔵文化財包蔵地は引き取りサービスへ

埋蔵文化財包蔵地を売却することは可能です。

しかし、ここでお話したように、一般的な不動産よりも売却で不利になるリスクもあります。

また、中には不動産会社や買い取り業者に相談したけれど、処分できずに困っているケースもあるのではないでしょうか。

そんな方は「有料の引き取り」を利用する手もあります。

引き取りとは、規定の料金を支払えば、最短3日から1週間程度で不要な土地や建物を引き取ってくれるものです。

所有権移転などの手続きも業者主導で進めてくれるので手間もかかりません。

当社でも、不動産を有料で引き取るサービス「不動産有料引き取りSOS」をご用意しております。

不動産の処分にお困りの方は、お気軽にお問い合わせください。

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