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利用していない山林を所有していると、どのようなリスクがあるの?

相続で所有することになった山林を放置していると、トラブルが発生したときに損害賠償や撤去費用を請求される可能性もあります。

山林の所有にはどのようなリスクがあるのか、山林の処分にはどのような方法があるかを学びましょう。

山林の所有者は山火事や土砂崩れの責任がある?

はじめに整理しておきたいのは、「山林の所有」と「リスクの関係」です。

山林でトラブルが発生し、周囲に損害を与えた場合、所有者は責任を負うのでしょうか。

これについては、民法717条に基づくと、所有者(占有者)が損害の発生を防止するための注意を払っていた場合や、一般的な伐採・管理を行っていた場合は、責任を負わされる可能性が低いと考えられます。

しかし、伐採や管理を行わず、通常考えられる所有者の責任を果たしていなかった場合は、 責任を負わされる可能性も否定できません。

山林所有者が損害賠償や撤去費用を請求されるリスク

下記の3つのリスクについては、損害賠償や撤去費用を請求される可能性があります。

山林所有者のリスク1:山火事

日本国内の山林では年間1,000件以上、1日あたり約3件のペースで火災が発生しています。

延焼面積はその年によって違いますが、平成28年〜令和2年の平均では1年当たり643ヘクタールです(東京ドーム140個分)。

これだけ多くの山火事が発生していることを考えると、所有している山林でいつ山火事が起きてもおかしくありません

山火事が起こると周辺住民に避難勧告が出ることも多く、一例では栃木県足利市の山火事では305世帯610人に避難勧告が出されました(令和3年2〜3月に発生)。
参考:林野庁「日本では山火事はどの位発生しているの?」

山林所有者のリスク2:土砂崩れ

土砂崩れも山林所有者にとって要警戒のリスクです。

所有している山林で土砂崩れが発生し、近隣の住民などに被害を与えた場合、以下のような請求をされる可能性があります。

・相手方の敷地に流入した土砂やがれきの撤去費用の請求
・土砂崩れで被害を受けた場合の損害賠償請求

ただし、損害賠償請求については、山林の所有者の過失が認められた場合に限られるようです。

例えば、過去に土砂崩れの可能性を何度も指摘されていたのに、それを無視して対策をとらなかったようなケースです。

山林所有者のリスク3:不法投棄

所有している山林で第三者による不法投棄が行われ、近隣の住民から撤去の要望があった場合、その処理は所有者が行うのが原則です(不法投棄を行った第三者が不明の場合)。

不法投棄はいったん始まると繰り返し行われることが多いため、山林に大量の廃棄物が投げ捨てられるケースもあります。

その場合の撤去費用はかなりの金額になるため、山林所有者にとって不法投棄も要警戒のリスクといえるでしょう。

山林所有者が周辺地域に悪影響を及ぼすリスク

上記のリスクに加えて、周辺地域の農業や近隣の山林に悪影響を与えるリスクもあります。

山林所有者のリスク4:害虫リスク

所有している山林に大量の害虫が発生してしまうと、周囲への拡散を食い止めるために広範囲で伐採をしなければならないことも考えられます。

当然ながら、伐採にかかった費用を負担するのは所有者です。

山林所有者のリスク5:獣害リスク

所有している山林に住み着いたシカやイノシシ、大量発生した野ネズミなどが周りの田畑や住宅を荒らしてしまえば、周辺地域に多大な被害を及ぼします。

管理していない山林を放置することが一番のリスク

山林所有者のなかには、「問題が起きてから、対応すればよいのでは?」とお考えの人もいるかもしれません。

しかし山林で山火事・土砂崩れ・不法投棄などが発生した場合には地元住民が多大な被害を受けることも少なくありません。

▽山林の山火事・土砂崩れ・不法投棄のニュースの一例
・朝日新聞デジタル
足利の山火事、たばこが原因と推定 被害額3200万円

・東京新聞TOKYO Web
盛り土があった土地の前所有者、2007年に熱海市とトラブル 土砂や倒木の撤去に応じず

・上毛新聞
束ねた毛布や袋詰めの肥料… 相次ぐ不法投棄に住民困惑 群馬・みどり市の山林

このように山林トラブルが発生すると、社会問題化しやすいです。

放置することが一番のリスクになりますので、「山林を活用していない」「適切な管理をしていない」という方は早めの売却をおすすめします。

リスクを回避するために、山林を処分する方法

リスクを回避するための山林の処分には、どんな方法があるかを確認しましょう。

山林を処分する方法1:売却する

山林は住宅や一般の土地と違い流動性が低いため、仲介会社に相談しても断られるケースが多いです。

そのため、ほかの売却先を探っていく必要があるでしょう。

山林の売却先の一例では、山林専門の買い取り業者・近隣の山林所有者・アウトドアが趣味で山林を探している人などが考えられます。

ただし、山林は購入希望者が少数のため市場価値が低く、値が付いたとしても二束三文になることもあります。

山林を処分する方法2:自治体や近隣に寄付する

林業が盛んな地域で、所有する山林の立木の価値が高いといったケースであれば、寄付先が見つかる可能性もあります。

しかし、立木に価値がなく、荒れている山林であれば寄付を申し出ても断られるケースが少なくありません。

山林を処分する方法3:国庫へ帰属する

2023年4月に始まった「相続土地国庫帰属制度」を利用する方法もあります。

この制度は、相続等により取得した宅地・田畑・森林などを国に引き取ってもらえる制度です。

ただし、「数多くの要件を満たす必要がある」「それなりの費用がかかる(審査手数料:土地一筆当たり14,000円+負担金:20万円~)」などのデメリットもあります。

なお、要件のなかには「一定の勾配・高さの崖がある土地は不承認」というものもあります。そのため、山林ではこの制度を使えないケースも多いと考えられます。

山林を処分する方法4:引き取り業者に依頼する

売却や寄付による処分が難しい山林は、負動産の引き取りを専門にしている業者に処分を依頼するのがよいでしょう。

処分の流れは、見積りをもらい、その内容に納得したら費用を払い、所有権移転などの手続きをとるというものです。

当社でも、不動産を有料で引き取るサービス「不動産有料引き取りSOS」をご用意しております。

不動産の処分にお困りの方は、お気軽にお問い合わせください。

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