共有持分の売却では共有者の同意は必要? 共有不動産の知識と売却事例を解説
第三者への共有持分の売却では、共有者の同意は必要か?
共有持分を第三者に売却して、共有関係を解消したいという方の相談を受けることがありますが、その際によく聞かれるのが「持分を売る際、共有者の許可は必要なのか」ということです。
結論から言うと、共有持分は、ほかの共有者の合意なく処分することができます。
一般にはなじみがないかもしれませんが、当社のように共有持分を買い取ることができる業者もあります。
今回は共有持分の第三者への売却が行なわれたケースや、持分を売却する際の注意点を紹介します。
共有関係離脱のための売却
共有持分は、ほかの共有者の許可がなくては売れないと考えている方は意外と多く、ネット等でも間違った情報が見られるようです。
おそらく、共有物全体を売却する場合と混同しているものと思われます。
共有持分は、あくまで独立した権利ですから、持ち主が自由に処分できます。
共有持分を売り、共有関係をどうしても離脱したいといったケースは意外と多いものです。
例えば、このような事例です。
親から受け継いだ会社の経営者である兄、そして妹が、相続した事業用不動産を共有しています。
この兄妹の力関係は歴然としています。親から受け継いだ株を持っていることもあり、発言権はつねに兄にあります。
土地は共有しているにもかかわらず、妹は不動産を使用できないのはもちろん、対価も受け取っていない状態です。
共有関係から離脱したいと考え、意を決して兄に持分を買い取ってもらうよう頼んだものの、兄としてはメリットのない取引であり、一言のもとに拒否されてしました。
そこで、妹は共有持分を売却することに決めました。
このケースでの持分の売却は、法律関係以外のところでトラブルになるかもしれないので、売却に兄の同意を得たほうがベターでしょうが、法律的には全く問題はありません。
兄の立場に立ってみると、共有者がいきなり変わることになります。
共有者に対する理不尽な振る舞いはやめておいたほうがよかったというケースです。
共有持分は価格が低くなる
さて、共有持分は、そのままではほとんど使えないため、買取を行なうのは個人ではなく企業であることが多くなります。
エンドユーザーへの売却のための仲介も、ほとんど行なわれません。
売り手として注意しておきたいことは、買い手が限られ、需要が少ないため市場価値が低く、期待したほど値段が高くならないことが多いということです。
不動産全体を売却し、持ち分に応じて分配したほうが高くなる場合が多くなりますので、共有持分売却を検討する前に、共有者と話し合い、全体として処分ができないかを考えることも必要でしょう。
協議が整わないとき、共有持分はあくまで個人で所有しているものですから、処分することは自由です。
なるべく有利に買ってくれる業者を探し、比較したうえで売却を決めたいところです。
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不動産の共有持分を相続 トラブル事例と解決方法とは?
不動産の相続において、非常に多く発生する問題が、「共有持分」にまつわるものです。
複数の相続人の共有となった土地や建物は、共有者間で意思が一致しないと、利用や売却などが制限されるからです。
そこで、不動産の共有持分を相続した場合の課題と、その解決方法について紹介します。
同意が取れず売却できないケースが続発
共有とは、ひとつの財産に複数の所有者がいるということ。
そのため、所有者間の意思の相違により様々な問題が発生します。
たとえば共有物の売却を行なうには、共有者全員の同意が必要です。
不動産を貸し付けるなどの管理は、持分の比率に応じ過半数の同意が必要となります。
遺産分割で、兄弟等で土地や建物を共有にしたものの意見が相違、あるいは感情的なこじれにより、不動産を処分できなくなるケースが後を絶ちません。
共有者の1人は現金が必要で、すぐに不動産を売却したいものの、共有者の1人に同意してもらえないといったケースが典型です。
2人の相続人が2分の1ずつで相続した場合などは、双方過半数の持分すら持たない状態となり、さらに困難な状況になります。
また、共有者が死亡し、二次相続が発生することで、共有者がさらに多くなることも考えられます。
共有持分の問題は、早く手を打たないと事態はさらに悪化してしまうことになりかねないのです。
所有権を「1分の1」に持っていく
共有持ち分の問題の最終ゴールは、何らかの手段で、ひとつの不動産を1人で持つ「1分の1」の状態に持っていくことです。
手段としては、相手方に共有持分を売却する方法、あるいは相手の共有持分を買い取るという方法が考えられます。
しかし、このような交渉は、感情問題もからみがちになり、難しいものです。
また、共有持分の購入では借り入れを受けることが難しいこともあり、金銭的事情から売買交渉が進展しなくなることもあります。
その場合、第三者である業者がいったん共有持分を買い取るという方法があります。
業者に持分を売ることで現金を得て、その後業者が相手方と相談して、持分の売買、あるいは不動産全体を合意のうえ、売却したりといったことを行なうのです。
なお、相手の共有持分を買い取ることも、自分の共有持分を売ることもできない場合には、「共有物分割請求」という手段もあります。
これは、共有者の1人が他の共有者に対して起こす裁判です。
認められれば共有関係は解消されます。
しかし、時間と裁判費用が掛かるのが難点で、ほかの手段で不可能である場合の最後の手段といえるでしょう。
共有持分の不動産取引事例 その1
所在地 | 千葉県 |
---|---|
不動産の概要 | 一棟マンションで賃貸中。土地建物ともに2分の1ずつの共有持分。 |
売主の希望 | 共同代表の法人にてサブリースし賃貸管理を行なっているが、疎遠となってしまった今、共有者との関係を子供たちに残したくない。 極力何もせずに、不動産からも法人からも一切の縁を切りたい。 |
当社が行なったこと
当社が購入した後、法人の今後、不動産の今後、賃料収入の保護、とクリアすべき課題がいくつかあったうえ、各々のハードルが高いと判断し、当時の流通相場のおおむね半額程度で購入し、一手にお引き受けしました。
購入時、購入後、共有化解消へ向け、相手に対し「売りませんか?」、「買いませんか?」と交渉を繰り返しました。
当然ですが、お互いに売るときはできるだけ高く、買うときはできるだけ安く、と希望するため難航します。
そのため、半年が経過しても埒が明かず、裁判所を通じ「共有物分割請求」訴訟にて裁定を仰ごうと思う、という意思を伝えてから少しずつ状況に変化がありました。
具体的な価格提示から始まり、結果的には共同で一棟マンションとして任意売却、高値を模索するため入札を行なうこととし、準備を進めました。
いざ入札を行なうまでにも、ここから半年ほどかかり、その間、最低価格や入札期間、諸条件等を決めていきました。
入札により当時の流通相場程度にて売却しましたが、取得から売却までは約1年半、案件としての着手からでは約2年の長期案件となりました。
持分比率が同じ共有者とは対等なので話しが進みにくく、場合によっては話しを持ち掛けた方の立場が弱くなることもあります。
共有不動産は金融資産としての評価がないうえ、融資が受けられず、また共有状態を解消するには時間がかかります。
どうすれば良いか、誰に相談すれば良いか、など全てにおいてわからないことだらけなので、個人で前述のような交渉を行なうことは非常に難しいと思います。
優先順位が価格ではなく、本件のように「現状のまま相続をさせたくない」というような場合には、当社のような共有不動産を購入する会社に丸投げして換金化する、という方法もひとつの選択肢として考えられます。
共有持分の不動産取引事例 その2
所在地 | 埼玉県 |
---|---|
不動産の概要 | 駐車場 |
売主の希望 | 過半数の共有持分を親族より取得したい。 |
当社が行なったこと
当社は売買の当事者ではなく、全面的にコンサルティングをする立場として介入しました。
そのため、ご契約前からご契約時、そしてお引渡しに至るまで、当社が双方の窓口となることにより、各々の負担や手間がないように努めました。
当社は取引完了時の成功報酬型なので、相談時点ではフィーは発生しません。
売主、買主が納得し、当社が購入または仲介しないこととなった場合には、円満に落ち着いて良かった、という結果で終わることもあります。
本件においては、まず過半数を所有される方に対し「時価」の説明を行ないました。
一言で時価といっても、根拠となる価格を提示しなくてはいけません。
資格あるものの立場として、近隣状況や不動産市況、流通相場等を調査したうえでの提案となります。
両者が納得する価格となった後、当社が仲介として携わるかどうかの判断を仰ぎます。
双方よりご依頼をいただき仲介取引となり、ここからフィーが発生します。
お客様同士がお会いして、お取引きされたほうが良いこともありますし、お会いしないまま完了したほうが良いこともあります。
直接やり取りすると話が早いこともありますが、不動産会社が介入することにより円滑に進むこともあるため、当社を「利用する」という観点から、まずはご相談されてみても良いと思います。
本件は最初にお問合せいただいてからご契約までが約3カ月、お引渡しはその4週間後でした。
共有持分の処分については当社へ
当社は、相続等により所有することとなった共有持分についてのコンサルティングを行なっており、持分の売却や買い取り、第三者への売却等、運用や処分の方法を提案します。
また、共有持分を直接購入することもできます。
その際、提示する価格については根拠をしっかり示し、ほかの選択肢を含めアドバイスします。
もちろん、ほかの業者と比較してから、という方も大歓迎です。
共有持分の売却をご検討の方はお気軽にご相談ください。
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