実家が処分できないリスクとは? 確実に手放すための方法を詳しく解説!
「実家を相続したけれど処分できない」という人は多いようです。
空き家となった実家を処分できないことで以下の3つのリスクがあります。
・特定空家等に指定されるリスク
・損害賠償のリスク
・諸経費がかさむリスク
この記事では、これらのリスクの詳しい内容と、実家を手放すための具体的な方法を解説します。
本稿を最後まで読むことで、将来の空き家リスクを回避するために「今、何をすべきか」が見えてきます。
実家が処分できない3つのリスク
前述のように、空き家となった実家が処分できないと3つのリスクがあります。
所有者はこれらのリスクに真剣に向き合うべきでしょう。
それぞれのリスクの詳細は次の通りです。
1.特定空家等に指定されるリスク
実家が空き家となり、家屋の老朽化が激しく「倒壊の危険性がある」「周囲の景観や生活環境に悪影響を及ぼしている」と自治体から判断されると、物件の所有者は指導を受ける可能性があります。
さらに、この指導に従わず家屋が「特定空家等」に指定されると、実家が建っている土地の固定資産税の減免措置(*)が解かれ、固定資産税が6倍になってしまいます。
*「住宅用地の課税標準の特例」のこと。この特例により本来の固定資産税の6分の1に軽減されている。
あるいは、自治体が強制的に実家を解体しなければならないと判断した場合は、行政代執行が実行され、解体費用が所有者に請求されてしまいます。
2.損害賠償のリスク
空き家となった実家が倒壊し、近隣に被害をもたらす、あるいは通行人が怪我をしたら、所有者が賠償責任に問われる可能性があります。
もしも、相手方の生命に関わるようなトラブルになれば、千万円単位、億円単位の被害額を請求されるリスクがあります。
「所有者自ら空き家をこまめに訪れてチェックする」「空き家管理サービスを利用する」などの方法でリスクを軽減できますが、そこに誰も住んでいない以上、リスクをゼロにするのは難しいのが現実です。
3.諸経費がかさむリスク
実家が処分できない場合、諸費用が継続的に発生します(下記の「空き家にかかる諸経費の例」参照)。
どれぐらいの諸費用がかかるかは物件によりますが、トータルで年間数十万円以上になることも少なくありません。
▽空き家にかかる諸経費の例
・固定資産税:
・住民税(均等割)
・町内会費
・草刈り
・雪下ろし
*家屋の所有者が遠方に住んでいる場合、自治体によっては住民税の均等割を徴収しないケースもあります。
上記に加えて、火災保険に加入している場合は保険料、定期的な清掃のために空き家になっても電気や水道の契約をしている場合は光熱費、近隣の業者に物件管理をお願いしている場合は管理委託費などがかかります。
処分できない実家を手放すための方法
空き家となった実家を処分する、もっとも一般的な方法は不動産会社(仲介会社)を通して買主を見つける売却です。
ただし、同じ売却でも工夫をすることで買主を見つけやすくなります。
さらに、物件の条件によっては「買い取り」「空き家バンク」「相続放棄」「引き取り」などの処分方法もあります。
詳細を確認してみましょう。
1.相場よりも安い価格で売りに出す
実家を処分する一般的な方法は、不動産会社(仲介会社)を通して買主を見つける売却です。
売りに出す際、相場よりも安い価格を設定することで、短期間で実家を処分することも可能です。
その地域に強い不動産会社の意見などをもとに、相場以下の価格設定を行いましょう。
2.更地にして売りに出す
実家の家屋の老朽化が激しい場合、それを解体して更地にすることで買い手がつきやすくなる可能性があります。
また、家屋が建っている状態で売りに出し、売買が成立した際に更地にすることを条件にするケースもあります。
3.不動産会社に買い取ってもらう
実家の処分を急いでいるケースなら、売却ではなく不動産会社に直接買い取ってもらう方法がよいでしょう。
ただし、買い取り価格は、売却で処分するときの50〜80%程度になるのが一般的です。
また、地方の小都市や過疎地域などでは、買い取りをしてくれる不動産会社自体が見つかりにくいこともあります。
4.空き家バンクに登録する
実家がある自治体が「空き家バンク制度」に力を入れているなら、これを活用する手もあります。
空き家バンクとは、自治体の公式サイトや広報誌などで、空き家の売却や賃貸の情報を発信してくれる仕組みです。
たとえば、かなりの年数の経った築古物件でも登録可能です。
5.相続放棄をする
相続が発生した直後なら「相続放棄」を選択して、いらない不動産を処分する方法もあります。
相続放棄は「相続の開始があったことを知ったときから3カ月以内」に行えます。
なお、この期間を過ぎても家庭裁判所が認めてくれれば、相続放棄ができるケースもあります。
6.近隣にお声がけする
実家の近隣の個人・法人・団体などにお声がけをして、格安で譲ったり、寄附をしたりする方法もあります。
国に寄附する手もありますが(国庫帰属制度)、要件が厳しかったり、まとまった負担金が必要だったりするため、まずは近隣との交渉を優先したほうがよいでしょう。
7.引き取り業者に依頼する
ここまでご紹介した方法が使えない、または、やってみたけれど実家を処分できなかったという人は、「引き取り業者」に依頼するとよいでしょう。
規定の料金、または見積り料金を支払えば実家を確実に処分できます。
業者ごとに料金体系がバラバラなので相見積もりをとることをおすすめします。
実家を処分しやすくするために事前にやっておくべきこと
実家をスムーズに処分するには、相続が発生する前段階で、相続する人とされる人が処分方法についてよく話し合っておくことが重要です。
ここでは、子が相続することを想定して、事前にやっておくべきことを解説します。
親が元気なうちに実家の処分について話し合う
実家を相続した後に「親が元気なうちに、実家の処分方法を話し合っておけばよかった……」と後悔する人は多いです。
親御さんが健在なうちに話し合うことで、相続後に実家を処分しやすいよう権利関係を整理したり、相続トラブルが起きないよう遺言を作成したりといった適切な対処ができます。
誰が実家を受け継ぐかを明確にしておく
親御さんが健在のうちに実家の処分について話し合うなら、「誰が実家を相続するか」を明確にすることをおすすめします。
何の話し合いもなく相続が発生した場合、複数の相続人の共有財産になることもあります。
そうなると、相続人の1人が反対すれば、実家を売却したり活用したりといったことができなくなります。
実家を所有したら管理をしっかり行う
実家の建物が傷んでしまえば、仲介による売却や不動産会社の買い取りなどが難しくなります。
相続などで空き家状態の実家を所有するようになったら、たとえ「近いうちに処分したい」と考えていてもこまめなメンテナンスを行いましょう。
管理の一例としては、湿気で家屋が傷まないために1カ月〜数ヶ月おきに窓を開けて換気をする必要があるといわれます。
庭の草刈りや雪おろしなどはシーズン中に数回程度、行うのが一般的です。
「遠方に住んでいる」「時間がない」などの理由で、こまめなメンテナンスが難しい人は、空き家管理サービスを利用するとよいでしょう。
要注意!建物は古くなるほど修繕費がかかりやすくなる
実家を処分できずに長期的に所有し続けていると、固定資産税や諸経費にとどまらず、経年劣化や台風・雪などの影響で傷んだ建物を修繕する費用が発生するケースもあります。
この修繕費は築年数が古くなるほどかかりやすくなるため、なるべく早いタイミングで実家を手放すのが賢明です。
空き家となった実家を活用する予定がないなら、所有し続ける理由はありません。
ここで紹介した「処分できない実家を手放す方法」から適切なものを選び実行しましょう。
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