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マンション敷地内ではどんな事故があり得る?事故リスクを軽減する対策も紹介

マンションを所有している人、これから所有する人は敷地内の事故について知っておいた ほうがよいでしょう。

なぜなら、「どんな事故があり得るか」を前もって知っておくことで、効果的な対策がとれるからです。

合わせて、マンション敷地内で事故が起きた際、的確な対応がしやすくなります。

ここでは、その詳細をわかりやすく解説していきます。

マンション敷地内で起こる可能性のある事故とは?

ひと口に「マンション敷地内の事故」といっても、次の3タイプに大きく分かれます。

1.共用部分でのトラブルによる事故
2.住民や訪問者の不注意による事故
3.自然災害による事故

まずは、それぞれのタイプの事故の内容を確認しましょう。

タイプ1:共用部分でのトラブルによる事故

マンションの「共用部分」とは住民や訪問者など、みんなで使う場所のことです。

例えば以下のような場所が該当します。

  • エントランス
  • 共用の廊下、階段
  • エレベーター
  • 屋上 など

これら共用部分に不備があって、住民、訪問者、通行人に被害を及ぼすケースも少なくありません。

以下のような具体例が挙げられます。

  • 外壁の一部が敷地内に落下して訪問者が亡くなった
  • 漏水により共用廊下が水浸しで住人が滑ってケガをした
  • 屋上から飛び降り自殺があった
  • エントランス付近で不審火が発生した など

例えば、上記のうち「外壁落下のケース」では、損害賠償の責任を負うのは、管理組合やオーナーというのが基本的な考え方です。

ただし、外壁が落下した原因が施工会社のミス、あるいは管理会社の怠慢などの可能性があるケースでは、業者の責任を追求することも可能です。

タイプ2:住民や訪問者の不注意による事故

マンション敷地内の事故の2つ目のタイプは、住民や訪問者の不注意によるものです。

以下のような具体例が挙げられます。

  • マンション敷地内で自動車の事故を起こした
  • ベランダの植木鉢を落下させて階下の物を壊した
  • 自転車に乗っていた入居者同士がぶつかった

不注意による事故の場合、事故を起こした本人が責任を負うのが原則です。

例えば、一般的な自動車の物損事故のケースでは、当事者同士の話し合いになります。

また、ベランダの植木鉢落下による事故では、その部屋に住んでいる人(植木鉢を置いた人)が責任を負うべきでしょう。

このタイプの事故で管理組合やオーナーが責任を問われることは稀です。

タイプ3:自然災害による事故

マンション敷地内の事故の3つ目のタイプは、台風、土砂崩れ、大雪など自然災害によるものです。

以下のような具体例が挙げられます。

  • 敷地内の斜面が崩れ、下敷きになった人が亡くなった
  • 台風で外壁が剥がれ、通行した車が傷ついた
  • マンション屋上からの落雪で通行人がケガをした

自然災害による事故が起きた場合、管理組合(区分所有者も含む)、オーナー、業者(施工会社や管理会社)などの責任を問われるかはケースバイケースです。

管理組合などに落ち度があれば責任を当然負いますし、不可抗力であれば責任を負う必要はありません。

裁判例を見てみましょう。

2020年に神奈川県のマンション敷地内で斜面が崩れ、周辺を歩いていた高校生が死亡した事故では、区分所有者、管理組合、管理会社らがご遺族に対して計1億円を支払う内容で和解が成立しています。
参考:NHK「神奈川 逗子 斜面崩落事故 遺族とマンション住民側の和解成立」(2023年7月1日)

このほか、マンション敷地内の事故では、不審者が侵入して設備にいたずらをする、入居者同士が争ってケガをするなどが考えられます。

マンション敷地内の事故リスクを軽減するための対策

ここまで見てきたマンション敷地内の事故は、事前の対策で一部防げます。

例えば、以下のような対策が考えられます。

対策1:管理会社に丸投げしない

マンション敷地内で事故が起きた場合、住民や管理組合が責任を負うケースも少なくありません。

たとえ事故が起こった原因が管理会社の怠慢でも、住民や管理組合が賠償金を支払うケースもあります(例:前出の斜面崩落事故など)。

こういった現実を考えると、マンション敷地内の管理を管理会社に丸投げするのはリスクがあります。

定期点検の内容、修繕が必要な箇所などを住人同士でしっかり共有し、問題を解消できるよう努力して行くのが望ましいでしょう。

重大な事故につながる可能性がある場所は、修繕をスピーディーに行うことも重要です。

対策2:損害保険の内容をチェックする

区分所有マンションでは、各戸の火災保険に加えて、管理組合が共用部分の火災保険に加入しているのが一般的です。

火災保険のオプションで地震保険に入っているケースも多いですが、この記事の前半でご紹介したような様々な事故に対応するため、賠償責任保険(建物管理賠償責任補償特約)への加入がマストです。

賠償責任保険に加入している場合でも、補償範囲が適切か(逆に、無駄な保険料を払っていないか)をチェックすることも大事です。

対策3:セカンドオピニオンを利用する

マンション敷地内の事故は、適切な物件管理や修繕を行うことで未然に防げることも多いです。

一方で、不動産の知識のない住民が、物件管理や修繕の中身をチェックするのは限界があります。

この問題を解消するための方法が、中立な外部専門会社のチェック(セカンドオピニオン)の利用です。

サービスを利用することで、例えば以下のようなアドバイスを受けられます。

  • 大規模修繕工事のタイミングは適切か
  • 現在の計画で大規模修繕工事を進めるとリスクはないか
  • 日常的な管理業務で改善点はないか
  • 大規模修繕工事の費用は妥当か など

マンション敷地内での事故でも警察に通報が必要なケースは多い

最後に、マンションの敷地内で事故が発生したときの一般的な手順をご紹介します。

大きな流れは次の通りです。

1.現状把握/被害者の救護をおこなう
2.二次被害を防ぐための行動をとる
3.警察に通報する

それぞれの手順を詳しく確認していきましょう。

1.現状把握/被害者の救護をおこなう

マンション敷地内の事故に遭遇したとき、あるいは、事故の当事者のとき、まずは落ち着いて「今、どのような問題が起きているのか」の現状を把握しましょう。

その上で被害者がいる場合は、救護を最優先させましょう。

救護とは、具体的には以下のような行動です。

  • ケガの内容を確認する
  • (必要があれば)被害者を安全な場所に誘導する
  • (同)救急車を呼ぶ など

2.二次被害を防ぐための行動をとる

マンション敷地内といえども、事故現場が自動車や人が頻繁に通る場所の可能性もあります。

その場合は、さらなる被害を防ぐことも大切です。

例えば、自動車の事故の場合、次のような行動をとりましょう。

  • 事故車を邪魔にならない場所に動かす
  • ハザードランプや発煙筒などで周囲に緊急事態を知らせる
  • 周囲の自動車や人に安全な通行を呼びかける など
  • ※ただし、事故の場合、現場の保全も大事です。状況に応じて判断しましょう。

3.警察に通報する

交通事故や大ケガを負った人がいるなどの状況では、警察への通報が必須です。

警察に連絡すべきかどうか迷った場合、まずは通報してみて「報告・届け出の必要があるか」を問い合わせてみるとよいでしょう。

とはいえ、最近では「安易な110番通報による警察の負担増大」が社会問題化しています。

具体的に、110番したほうがよいケースは次の通りです。

  • 交通事故を起こした、目撃したとき
  • ひき逃げにあった、目撃したとき
  • ケンカをしている人を目撃したり、人の悲鳴を聞いたとき
  • 倒れている人を見たとき
  • 警察を呼んでと助けを求められたとき
  • 土砂崩れで道路がふさがっているのを目撃したとき(災害情報) など

引用:千葉県警察「正しい110番の利用方法

とくに自動車の事故は警察に届け出ないことで、後々トラブルに発展するケースも多いです。

「私有地(マンション敷地内)だから通報しなくても大丈夫」というような判断はリスクがあるのでやめましょう。

道路上の事故かどうかにかかわりなく、交通事故を起こした場合は警察への報告義務や負傷者の救護義務を負います。自動車保険についても、公道以外の事故も保険事故となり補償の対象になっています。
引用:JAF「[Q]駐車場など公道以外で起きた事故の扱いはどうなるのですか?

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