長屋の売却、解体・補強で起こり得るトラブルと売却事例を解説
「長屋」を相続 売却、解体・補強で起こり得るトラブルとは?
みなさまは「長屋」と聞いて、どのようなイメージをお持ちでしょうか?
落語に出てきそうな古風な名称から、今はない形態の建物と思われるかもしれませんが、現在も住宅密集地を中心に長屋は多数あり、新しく建てられることもあります。
建築の世界で長屋と呼ばれるのは、出入口が独立した2戸以上の住居等が連続して1棟となっている建物。
商店街などで、数店が軒を連ねている1棟の建物を見たことがあると思います。
商店以外では、いわゆる「テラスハウス」といわれるものも長屋の一種。
もともと大きい一戸建てであったものが、間を切られて作られているケースもあります。
相続したが売却できないことも
相続では、長屋のうち、一軒を相続することもあります。
一戸建てやマンションとは異なる形態に、解体や補修、売却を行なおうと考える相続人が、戸惑うこともあるようです。
長屋の所有権のありかたは様々ですが、それぞれの居住者に区分所有されている場合が多いでしょう。
敷地は、建物の所有者が、それぞれ分筆して所有している場合や共有の場合などもあり、こうした権利関係はチェックしておく必要があります。
区分所有をしている場合は、自分が所有している住居だけを売却することはできます。
ただし、現実として買い手が見つけにくいという事情もあるようです。
その理由のひとつに、長屋の住居一軒のみで解体や補強工事を行なうのが難しいことがあります。
リフォームがしにくいため、購入しても利用価値が低く、価格がつきにくいのです。
トラブルが発生するケースとは
自分の所有部分だけを建て替えることも、可能ではあります。
しかし、その場合、共有などの権利関係によりますが、他の区分所有者の一定割合の合意が必要となります。
合意が取れなかったり、あいまいだったりすることでトラブルになり、工事が止まる事態になることも考えられます。
また、工事内容でもトラブルが発生しがちです。
内装工事などでは、工事内容によって内壁をいったん取り除くことがあり、その場合、隣の家がむき出しになってしまうことになります。
実際の工事では、仮の仕切りを作ることになりますが、しっかりと工事内容に理解を得ておかないと、トラブルが大きくなってしまいます。
費用面では、工事の件数が多くないことから相場がわかりにくいことも課題です。
慣れない業者に頼むことで、価格が不必要に高くなってしまうケースもあります。
長屋の解体や補強、リフォームの際は、技術的にも、また費用的にも経験の深い業者に依頼すること、また複数社との比較を行なうことが重要になります。
長屋の売却「違反物件」取引事例
所在地 | 23区内 |
---|---|
不動産の概要 | 重層長屋として建築確認を取得していたが、実際は一般的な共同住宅として建築してしまっている、いわゆる違反物件。 |
売主の希望 | 不動産市場全体が景気良く、収益不動産も低利回りで流通しているので違反物件でも高く売れるはず。 しかし、中古として親が購入したものを相続しており、不動産に関する書類が一切ない。 |
当社が行なったこと
違反物件は金融機関の担保評価が出ず、融資が受けられないため、平成初期の木造アパートは遵法性を保っていたとしても耐用年数の残存がありません。
そのため、最悪は居住者全員が退去した後、宅地として販売できる価格、利回りとしては10%強にて取得しました。
中長期案件として捉え、保有期間中に測量、建物の補修、そしてアパート周囲の樹木の剪定を行ないました。
購入後、一通りの手直し等が終わり、それまで販売していた価格を見直し早期売却へと動き出しました。
結果、違反物件のままですが、利回り9%で売却しました。
恐らくは個人が売主で同様に売却活動を行なったとしても、同利回りで売却できない可能性が高いと思います。
不動産会社が売主、売主による仲介手数料の支払い、2年間の瑕疵担保責任、という条件が重なることにより、この価格帯で売却できたものと考えています。
以上を踏まえると、当社のような不動産会社を利用し、協力を仰ぎながら共同して売却活動を行なうという方法があります。
個人と不動産会社の信頼関係が重要になりますが、一度不動産会社に譲渡し、不動産に付加価値をつけることによって高値を模索します。
お客様、不動産により、最善策は異なります。
個人にとっては、この最善策を一緒に見つけてくれる不動産会社が重要となります。
長屋の売却に関する相談はお気軽に
当社では、長屋についてのご相談を受け、様々な提案を行なった経験があります。
長屋の一室の解体や改修のほか、複数軒の同時解体、同時改修など、トータルでの運用提案が可能です。
また、長屋の一室、一棟の売却に関しても、仲介や買取など、有利な売却方法を提案いたします。
お気軽にお問い合わせください。
関連記事合わせてお読みください
事故物件の告知義務違反の罰則は?訴訟リスクを軽減するための3つのポイント
事故物件を賃貸・売却する際は、相手方に事故があった事実を伝える告知義務があります。 告知義務違反をしたときの罰則については、法律で明示されているわけではありません。 ただし、事故物件の告知……
越境している不動産を売買する際の3つの方法 トラブル回避のポイント
越境している不動産を所有している人の中には「通常の不動産のように売買できるのか」「越境したまま売買してトラブルにならないか」などの不安を感じている人もいるでしょう。 ここでは越境している不動産を……
その不動産で融資を受けられる?「建物の遵法性」の問題とは
その不動産で融資を受けられる?「建物の遵法性」の問題とは 相続した建物に関する問題で、意外と多いのが、建築関連の法規に違反しているケース。 法律違反というと、特殊な状況に聞こえますが、……
新着記事最新情報をご紹介いたします
マンション共用部分の飛び降り自殺物件は告知義務が必要?賠償金も含めて解...
-698views高圧送電線が通っている土地(高圧線下地)とは?評価方法や売却時のポイン...
-594views境界非明示の契約は有効? 境界トラブルのリスクと売却成功事例
-514views賃料値上げを拒否されたらどう対処すべき?交渉を有利に進めるポイントも解...
-514views利用していない山林を所有していると、どのようなリスクがあるの?
-259views
株式会社EINZ
〒150-0043
東京都渋谷区道玄坂1-18-8
道玄坂プラザ仁科屋ビル4F
TEL 03-6455-0546
FAX 03-6455-0547