事故物件の告知義務違反の罰則は?訴訟リスクを軽減するための3つのポイント
事故物件を賃貸・売却する際は、相手方に事故があった事実を伝える告知義務があります。
告知義務違反をしたときの罰則については、法律で明示されているわけではありません。
ただし、事故物件の告知義務をしなかったことで、損害賠償請求や契約解除などに発展するケースも少なくありません。
ここでは事故物件の訴訟リスクを軽減するためのポイントを中心に解説します。
事故物件とは、住人等が殺人や自殺などで亡くなった物件
はじめに、事故物件についてざっと定義しましょう。
事故物件とは、住んでいた人等が老衰や通常の病死以外の理由で亡くなった履歴のある物件のことです。
国土交通省の「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(外部リンク)などを参考にすると、以下のようなケースで住人が亡くなると事故物件に該当すると考えられます。
- 殺人
- 自殺
- 自然死などでも長期間放置された場合
- 住人の死亡により特殊清掃や大規模リフォームが行われた場合 など
事故物件の告知義務をするべき理由とは?
次に、事故物件を売買・賃貸において、告知義務がある理由について整理しましょう。
事故物件の告知義務とは、売主・貸主・仲介会社が相手方に対して「対象物件で事故があった事実を伝える義務のこと」です。
告知義務をするべき理由は、事故物件であることを伝えずに取引をすると、次のリスクがあるからです。
- 宅建業法違反となる(仲介会社)
- 民法の契約不適合責任を問われる可能性がある(売主、貸主、仲介会社)
なお、買主は契約不適合責任に基づき、次の4つの権利を有します。
- 履行追完請求(補修など)
- 損害賠償請求
- 代金減額請求
- 契約解除
契約不適合責任について、詳しく知りたい人はこちらの関連記事もご確認ください。
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事故物件の告知義務違反をしたときの罰則は?
事故物件の告知義務違反の罰則については、宅建業法や民法などの法律に明示されているわけではありません。
トラブルになった場合は、調停や裁判などで個別に解決していくことになります。
具体的には、事故物件の告知義務違反をしたことで、契約解除や損害賠償請求などの訴訟に発展することも少なくありません。
一例では、建物取り壊し後の土地転売を目的とした物件の売買(契約額:3,300万円)において、約8年前に強盗殺人があった事実を告知しなかったことで、1,735万円(弁護士費用含む)プラス遅延損害金の支払いを命じられたケースもあります(平成28年7月29日・神戸地裁判決)。
※参照:(一財)不動産適正取引推進機構「売買に関する紛争(2)瑕疵・その他-心理瑕疵」(外部リンク)
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事故物件の告知義務違反をしないための3つのポイント
前述のように、事故物件の告知義務違反により、契約解除や損害賠償請求などのリスクがあります。
このリスクを軽減するには、以下の3点に注意する必要があります。
- 告知義務の責任は誰が負うのか?
- 告知はいつ行うべきか?
- 告知義務の期間はどれくらいか?
それぞれの詳細を確認しましょう。
告知義務の責任は誰が負うのか?
宅建業法で考えれば、事故物件の告知義務の責任を負うのは仲介会社(宅建業者)です。
また、民法の契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)で考えると責任を負うのは仲介会社及び売主・貸主になるでしょう。
例えば宅建業法では、土地や建物の買主・借主となる人に対して、重要事項の説明などで故意にその事実を告げなかったり、嘘を告げたりすることを禁じています。
事故物件であることを告知しなければ、この箇所に抵触する可能性があります。
参考:宅建業法35条、47条
「宅建業法は、仲介会社の法律だから関係ない」と思う売主・貸主もいらっしゃるかもしれません。
しかし、仲介会社が事故物件の履歴について調査をしても、売主・貸主が事実を伝えなければ告知義務は果たせません。
その意味では、宅建業法に基づく告知義務でも売主・貸主は大きな責任があるといえるでしょう。
事故物件の告知はいつ行うべきか?
宅建業法において物件の告知をいつまでに行うかは明記されていませんが、契約締結前の重要事項説明のときに行うのが通例でしょう。
といっても、重要事項説明の際に突然「事故物件であること」を告知すれば、トラブルになることは避けられません。
このことを踏まえると、以下のような手段で「事故物件であること」を繰り返し買主・借主に伝えるのが賢明です。
- 物件広告
- 問い合わせがあった段階
- 内見時 など
さらに、以下の書面上で「事故物件であること」を明示し、口頭でも説明するのが安全です。
- 賃貸借契約書
- 売買契約書
- 重要事項説明書
- 物件状況報告書 など
事故物件の告知義務はどれくらいの期間続くのか?
事故物件の告知義務がどれくらいの期間続くのか、これについても法律で明示されていません。
しかし、国土交通省の「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(外部リンク)が告知期間を考える際の参考になります。
同ガイドラインによれば、事故物件の告知期間の目安は「賃貸はおおむね3年」「売買はケースバイケース」と考えられます。
事故物件の「告知義務の期間」について詳しく知りたい人は、下記の記事もご参照ください。
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売却・物件再生・買取・引取
事故物件の告知義務を怠ると、多額の損害賠償に発展するケースも
本稿では、事故物件の告知義務違反にならないためのポイントを中心に解説してきました。
その内容をまとめると以下のようになります。
- 事故物件の責任は、不動産会社だけでなく売主や貸主も負うと考えられる
- 事故物件の告知義務は、重説に加えて他の手段でも行うのが安全
- 事故物件の告知期間は、賃貸はおおむね3年、売買は個別判断となる
本文でご紹介したように、損害賠償請求に発展した訴訟では、売買契約額3,300万円に対して、契約金額の約半分に及ぶ1,735万円プラス遅延損害金が命じられたケースもありました。
こういった事例を参考にすると、事故物件の売買・賃貸については、弁護士や事故物件に詳しい不動産会社などの知見を基に、慎重に判断していく必要があります。
不動産再生を専門とする株式会社EINZ(アインズ)では、事故物件のオーナーに対し、個別のコンサルやサポートが可能です。
一例は次の通りです。
- 事故物件の告知義務についてのアドバイス
- 事故物件の資産価値を高めて仲介
- 事故物件をそのまま買取
- 買い手の見つからない事故物件を有料引取 など
私たちにお任せいただければ、事故物件の状況に合わせて適切なコンサルやサポートが可能です。
お困りの人は、お気軽に下記のリンク先からご相談ください。
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