• メールで相談する
  • 電話で相談

事故物件を解体すると告知義務はどうなる?更地で売却するメリット・デメリット

結論から申し上げますと、事故物件の建物を解体しても売却時に「事故物件の告知義務はなくならない」のが原則です。

その詳細をはじめ、売主が告知義務を果たさなかったときの裁判例、事故物件を解体して売却するメリット・デメリットなどを解説します。

事故物件は解体しても告知義務はなくならない

冒頭で述べたように、事故物件の建物を解体して売却しても、告知義務はなくなりません(売却時)。

売主や仲介会社が告知義務を果たせなかったとき、買主は契約不適合責任に基づく権利を主張できます。

詳しい内容を確認してみましょう。

契約不適合責任に基づく買主の4つの権利

過去に事故(自殺、殺人事件、焼死など)のあった土地を告知義務なしで売却してしまうと、売主は以下のようなリスクがあるため注意しましょう。

  • 宅建業法違反となる(仲介会社)
  • 民法の契約不適合責任を問われる可能性がある(売主、仲介会社)


なお、買主は契約不適合責任に基づき、以下の4つの権利があります。

  • 履行追完請求
  • 損害賠償請求
  • 代金減額請求
  • 契約解除


契約不適合責任について、詳しく知りたい人は以下の関連記事をご参照ください。

【関連記事】
契約不適合責任と瑕疵担保責任の違いとは?不動産の売主向けに解説

解体した事故物件で損害賠償が認められた事例

例えば、建物を解体した事故物件で売主が告知義務を果たさなかったことで、損害賠償請求が認められた次のような事例もあります。

【事故物件の概要】大阪高裁 平18・12・19

  • 平成8年4月:ある建物で女性の刺殺体が発見され、同居していた人物が殺人容疑で逮捕された。
  • 平成16年5月:上記事件の約8年後に建物が解体され、その後、貸地として利用された。
  • 平成16年11月:X氏が対象の土地を購入。殺人事件のことは告知されず、事件があったことを知ったのは購入後だった。希望金額で広告を出しているが未だに売却できていない。

参考:(一財)不動産適正取引推進機構「RETIO判例検索システム

上記に対し、大阪高裁はX氏(買主)の損害額は「売買代金の5%(約75万円)」と算定し、Y氏(売主)へ支払いを命じました。

この事例は、見方によっては損害請求が認められたといっても「売買代金のごく一部でしかない」と捉えることもできます。

しかし、事故から8年以上経過していたにもかかわらず、損害賠償が認められている部分にも着目すべきでしょう。

事件の内容が凄惨だったり、事故からの経過年数がそれほど経っていなかったりすれば、建物が解体されていても多額の損害賠償が認められる可能性も考えられます。

訳あり物件専門のEINZ(アインズ)に相談
売却・物件再生・買取・引取

事故物件を解体して売却するメリット

ここまでお話ししてきたように、事故物件の建物を解体して売却しても告知義務はあります。

とはいえ、事故物件の建物を解体して、更地で売却するメリットもあります。

メリット1.買主の抵抗感が薄らぎやすい

事故物件でも現場となった建物が解体されれば、買主の心理的な嫌悪感は薄らぎやすくなります。

中には「解体されているなら、事故物件でも抵抗感がほとんどない」という人もいるかもしれません。

その結果、価格の下落を軽減したり、買主を探す期間を短くできたりする可能性があります。

メリット2.用途が広がる

事故物件を売却しようとしても買主がなかなか見つからず、長期間そのままになっているケースも少なくありません。

建物を解体することで駐車場や賃貸経営などで運用することが可能となり、買主を探しやすくなります。

まず、駐車場による有効活用の場合ですが、用途が居住ではないため、事故物件だったことによる利用者の抵抗感はほとんどないと考えられます。

また、事故物件で賃貸経営をする場合は、殺人・自殺・孤独死(長期間発見されなかったケース)などが発生してから「おおむね3年」が経過していれば借主に対する告知義務はなくなると考えられます。
参考:国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン

メリット3.地域のネガティブなイメージを払拭しやすい

事故物件の嫌悪感を抱くのは買主や借主だけではありません。

殺人事件などインパクトのある事件の場合は、近隣の方々の記憶にも強く残ってしまいます。

建物を解体することで事件の記憶が薄れやすくなる面もあるでしょう。

訳あり物件専門のEINZ(アインズ)に相談
売却・物件再生・買取・引取

事故物件を解体して売却するデメリット

事故物件を解体することでメリットがある反面、デメリットもあります。

これらの両方を踏まえた上で「事故物件を解体するべきか否か」を判断するのが賢明です。

デメリット1.解体費用がかかってしまう

事故物件の所有者が気になるのは、やはり「解体費用がどれくらいかかるのか」ということではないでしょうか。

解体費用は、地域・物件の種類・延べ床面積・塀の有無などで変わってきます。

一般的な解体費用の目安は以下の通りです(戸建て/坪あたり)。

  • 木造:3〜5万円
  • RC造(鉄筋コンクリート造):6〜8万円
  • 鉄骨造:5〜7万円


建物の規模が一定以上なら、解体費用が100万円単位になることも少なくありません。

デメリット2.固定資産税が増える可能性がある

固定資産税は、土地上に建物が建っていることで軽減されています。

事故物件を解体すれば、それまで適用されていた軽減税率がなくなり、元の固定資産税を負担しなければなりません。

事故物件を解体後、すぐに土地を売却したり賃貸物件を建てたりするなら、固定資産税の負担は限定的です。

しかし、事故物件の解体後、更地のまま長期間所有すると固定資産税の負担が大きくなります。

デメリット3.再建築不可のケースもある

事故物件が建築基準法に違反していて「再建築不可」の場合は、解体すると新たな建物を建てられないため注意しましょう。

例えば、再建築不可物件には、以下のような接道義務を満たしていないケースがあります。

  • 道路に接していない
  • 建築基準法上の道路に接していない
  • 接道が2m未満である


上記に該当する場合、「事故物件+再建築不可物件」という理由で、市場価値が極端に下がる可能性があります。

訳あり物件専門のEINZ(アインズ)に相談
売却・物件再生・買取・引取

事故物件の解体をお考えの際に注意したいこと

本文でお話ししたように、事故物件を解体することで買主の抵抗感は薄らぎやすくなります。

しかし、事故物件を解体したにもかかわらず、売却できなかったり買い手がなかなか見つからず希望を価格で売却できなかったりするケースもあります。

このリスクを踏まえた上で、「事故物件を解体すべきか」を検討することをおすすめします。

「ご自身で判断するのが難しい」「解体後の売却や活用に不安がある」という方は、株式会社EINZ(アインズ)までお気軽にご相談ください。

私たちは「訳あり物件」を専門にする不動産会社です。

事故物件の所有者の方々に以下のような個別提案ができます。

  • 事故物件を解体すべきかのアドバイス
  • 事故物件を解体した後の有効活用のご提案
  • 事故物件を解体した後の仲介・買取
  • 処分できない事故物件の有料引取


お問い合わせの際は、お手数ですが「事故物件でお困りであること」「ご希望される提案内容や物件概要」などをお知らせいただけますと、よりスムーズに対応できます。

利用していない山林の処分でお困りでしたら、山林引き取りSOSをご利用ください。

関連記事合わせてお読みください

新着記事最新情報をご紹介いたします